1DKにふたりで暮らす——生活費を月1万円下げると、FIREは資産300万円分近づく
FIREの話題は「いくら貯めるか」「どう運用するか」に偏りがちです。でも、シミュレーターを何度も回して痛感するのは、いちばん効くレバーは生活費だということ。
わが家は1DKのマンションにふたりで暮らしています。ものは少なめ、生活はシンプル。「よく我慢できますね」と言われることもあるのですが、実感はむしろ逆で、狭く小さく暮らすほど快適になっていくのです。しかもこの暮らし方は、FIREの数字の上でもかなり強力でした。今回はその両面——数字と暮らしの工夫——をまとめます。
月1万円の節約は「資産いくら分」か
まず数字から。4%ルールの逆算(いわゆる25倍則)では、生活費が年12万円(月1万円)下がると、必要資産は 12万円 × 25 = 300万円 減ります。
これはあくまで単純計算なので、これまでの記事と同じモンテカルロシミュレーション(40歳・資産5,000万円・期待リターン年5%・リスク18%・1万回試行)でも確かめました。生活費を月16.7万円から1万円ずつ下げたとき、「100歳まで資産が持つ確率」がどう変わるか——そして同じ成功率を「生活費そのまま・資産の上積み」で達成するには、いくら必要かを逆算します。
| 生活費 | 成功率 | 同じ成功率に必要な資産の上積み |
|---|---|---|
| 月16.7万円(基準) | 41% | — |
| 月15.7万円(−1万円) | 45% | 約300万円 |
| 月14.7万円(−2万円) | 49% | 約680万円 |
| 月13.7万円(−3万円) | 53% | 約1,060万円 |
「生活費を下げた場合」と同じ成功率を「資産の上積み」で達成するのに必要な金額。期待リターン年5%・リスク18%・1万回試行。
面白いのは、モンテカルロの結果が25倍則(1万円=300万円、2万円=600万円、3万円=900万円)を むしろ上回った ことです。生活費が低いほど相場の下振れに強くなるため、リスクを考慮すると節約の価値は単純計算より大きくなる——月3万円の節約は、資産1,000万円を追加で貯めるのと同じ働きをしてくれます。
月3万円と聞くと大変そうですが、ふたり暮らしなら ひとりあたり月1.5万円。そしてわが家の実感では、その大部分は「我慢」ではなく「住まいの選び方」から生まれます。
コンパクトに暮らす側の言い分
生活費の内訳でいちばん大きい固定費は、たいてい住居費です。1DKふたり暮らしの良さは、まずこの最大項目が構造的に小さくなること。そして副次効果が思いのほか多いことです。
- 家賃だけでなく光熱費も下がる。 冷暖房の対象が狭いので、夏も冬も空調がすぐ効きます
- ものが増えない構造になる。 置く場所がないので、買う前に「どこに置くか」を必ず考える。収納家具を買い足す→ものが増える→広い部屋が必要になる、という連鎖が起きません
- 掃除が短時間で終わる。 床にものがなければ、部屋全体の掃除が15分で済みます。きれいな状態が保ちやすく、快適さはむしろ上がります
- 探しものが消える。 すべてのものに定位置が作れる広さ、と言い換えることもできます
もちろん向き不向きはあります。在宅で仕事をする日が多い、趣味の道具が多い、といった場合は無理のない広さが正解です。大事なのは「広いほど豊か」という思い込みを一度外して、自分たちの生活費の最大項目を自分で選び直すことだと思います。
ふたり暮らしのお金は「仕組み」で解決する
ふたりでコンパクトに暮らすとき、地味に大事なのがお金の分担です。財布を完全にひとつにするか、分けるか。分けるなら共通の出費をどう精算するか——ここが曖昧だと、節約の話がそのまま揉めごとの種になります。
わが家は「共通の生活費を記録して、あとでまとめて精算する」方式に落ち着きました。この精算を手軽にするために作ったのが シンプル生活費精算 です。ふたりの立て替えを入力すると精算額を計算してくれる、登録不要・無料のWebアプリです。収入差がある場合の「比率精算」にも対応しているので、同じような暮らし方の方はよければ使ってみてください。
まとめ
- 生活費 月1万円 の差は、FIREの必要資産 約300万円分。月3万円なら約1,000万円分に相当します
- モンテカルロで検証すると、節約の価値は25倍則の単純計算を上回りました。生活費の低さは下振れ相場への強さでもあるからです
- コンパクトな住まいは、最大の固定費を下げると同時に「ものが増えない」「家事が軽い」という快適さも連れてきます
- ふたり暮らしの場合、お金の分担は気合ではなく仕組みで解決するのがおすすめです
生活費を下げた分だけ、シンプルFIRE計画で目標金額を下げて再計算してみると、到達時期がどれだけ手前に来るか実感できるはずです。
前提と注意点
- シミュレーションはリターンが毎年独立に対数正規分布に従う単純化モデルで、金額はインフレ調整後の実質ベースです。
- 住まいの選択は通勤・家族構成・健康など生活全体に関わります。本記事は費用面からの一つの見方であり、すべての方に小さな住まいをおすすめするものではありません。
- 本記事およびアプリは情報提供を目的としたものであり、投資助言ではありません。
筆者:yokafolio(30代・FIREを目指して積立中)。「余白のある人生」をテーマに、シンプルな家計・資産ツールを作っています。